「未経験だけど転職したい」「今の仕事が合わない」そんな悩みを抱える20代の方は少なくありません。実は20代は、未経験からでも新しい仕事に挑戦しやすい絶好のタイミングです。
企業は20代に対して、スキルや経験よりも「ポテンシャル」や「成長意欲」を重視する傾向があります。厚生労働省の調査によれば、20代の転職成功率は約60〜70%と高く、異業種・異職種への転職も十分に可能です。※1
この記事では、20代未経験から挑戦できる仕事を10職種厳選してご紹介します。男女別・年代別のおすすめ職種や、転職を成功させるための具体的なコツも解説しますので、「自分にもできる仕事はあるのか」「どうすれば転職に成功できるのか」とお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
※1 参考:雇用動向調査結果の概況|厚生労働省
20代が未経験からでも転職できる理由

20代で「未経験だから転職は無理かも」と諦めていませんか? 実は20代は、他の年代と比較して未経験からの転職が最も成功しやすい時期です。ここでは、20代が未経験転職に有利な理由をデータとともに解説します。
ポテンシャル採用が主流だから
20代の採用では、即戦力としてのスキルや経験よりも「ポテンシャル(将来性)」が重視されます。企業は20代に対して、長期的に育成できる人材として期待しており、「学習意欲」「成長意欲」「柔軟性」といった資質を評価する傾向があります。
特に新卒入社後3年以内の「第二新卒」は、社会人としての基礎マナーは身についている一方で、企業の社風に染まっていないため柔軟性が高いと評価されます。このため、未経験の業界や職種であっても「やる気」と「熱意」をしっかり伝えることで、採用のチャンスが十分にあります。
転職市場で20代の需要が高いから
多くの企業が「20代の人材が不足している」と感じており、若手人材の確保に力を入れています。少子高齢化の影響で若い世代の労働人口が減少する中、企業の長期的な成長を支える世代として20代への期待は高まる一方です。
マイナビの中途採用状況調査(2025年版)によれば、20代〜40代の採用に積極的と回答した企業は8割を超えており※2、特に20代は「柔軟性」「適応力」が評価され、未経験者の採用に前向きな企業が多い傾向にあります。
※2 参考:中途採用状況調査2025年版(2024年実績)|マイナビキャリアリサーチLab
研修制度が充実している企業が多いから
未経験者を積極的に採用している企業の多くは、入社後の研修制度やOJT(実務を通じた指導)が充実しています。特にIT業界や介護業界など、人手不足が深刻な業界では、未経験者向けの教育プログラムを整備している企業が増えています。
また、資格取得支援制度を設けている企業も多く、働きながら必要なスキルや資格を身につけることが可能です。「スキルがないから不安」という方も、入社後に学べる環境があるため、安心して挑戦できるでしょう。
【データで見る】20代の転職成功率
厚生労働省「令和5年雇用動向調査」によれば、2023年の転職入職率(常用労働者数に対する転職者の割合)は、20〜24歳が男性14.8%・女性15.3%、25〜29歳が男性13.4%・女性14.5%となっています。※3 これは全年代の中でも特に高い水準です。
また、リクルートの調査では、20代前半の約52%、20代後半の約39%が異業種・異職種への転職に成功しているというデータもあります。※4 このように、20代は実際に多くの人が未経験分野への転職を実現しており、データからも「挑戦しやすい年代」であることが分かります。
※3 参考:令和5年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省 ※4 参考:転職時の業種・職種異同のパターン別割合(2020年度)|リクルート
【男女共通】20代未経験でもできる仕事おすすめ10選

ここでは、男女問わず20代が未経験から挑戦できる職種を10個厳選してご紹介します。各職種の仕事内容や年収、キャリアパスなどを詳しく解説するので、自分に合った仕事を見つける参考にしてください。
営業職
営業職は、企業の商品やサービスを顧客に提案・販売する仕事です。未経験歓迎の求人が多く、学歴や前職の業種を問わない企業が大半です。基本的なビジネスマナーとコミュニケーション能力があれば、入社後の研修でスキルを身につけられます。成果に応じて昇給やインセンティブが得られる企業も多く、努力次第で高収入を目指せる点が魅力です。
平均年収は約567.9万円で、20代でも実力次第で年収500万円以上を狙えます※。顧客折衝力や提案力が身につくため、将来的には営業マネージャーや経営企画職へのキャリアアップも可能です。人と話すことが好きで、目標達成意欲が高い方に向いている職種といえるでしょう。
ITエンジニア/プログラマー
ITエンジニアは、Webサイトやアプリケーションの開発・運用を担当する技術職です。IT業界は慢性的な人手不足のため、未経験者向けの研修制度が充実している企業が多く、プログラミング未経験でも挑戦できます。入社後3〜6ヶ月の研修期間を設けている企業も多く、基礎から着実にスキルを学べる環境が整っています。
平均年収は約462万円で、スキルを磨けば20代で年収600万円以上も可能です。経験を積むことで、フリーランスとして独立したり、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントへのキャリアチェンジも目指せます。論理的思考が得意で、新しい技術を学ぶことに意欲的な方に最適な職種です。
Webマーケター
Webマーケターは、企業のWebサイトやSNSを活用して集客や売上向上を支援する仕事です。デジタルマーケティングの知識がなくても、SEO、SNS運用、Web広告運用などを実務を通じて学べる企業が増えています。未経験者向けの育成プログラムを用意している企業も多く、20代なら積極的に採用されています。
平均年収は約645.5万円で、デジタル人材として需要が高まっている職種です。分析力や企画力が身につくため、将来的にはマーケティングマネージャーや事業責任者を目指すことも可能です。データ分析が好きで、トレンドに敏感な方に向いています。
介護職
介護職は、高齢者や障がい者の日常生活をサポートする仕事です。資格不要で始められる求人が多く、入職後に「介護職員初任者研修」を取得できる制度が整っている施設も多数あります。少子高齢化により人材需要が高く、未経験者でも安定して働ける環境が整っているのが特徴です。
平均年収は約406万円(月額33.8万円)で、資格取得や経験を積むことで処遇改善加算による給与アップが見込めます。介護福祉士やケアマネージャーの資格を取得すれば、さらなる収入増とキャリアアップが可能です。人の役に立ちたい、思いやりの心がある方に向いている職種です。
事務職
事務職は、書類作成、データ入力、電話対応などを担当する仕事です。特別なスキルや資格が不要で、未経験者でも応募しやすい職種の一つです。OJTで業務を学べる企業が多く、PCの基本操作ができればスタートできます。残業が少なく、ワークライフバランスを重視したい方にも人気があります。
平均年収は約343万円で、経験を積むことで経理事務や人事労務などの専門事務職へのステップアップも可能です。簿記やMOS(Microsoft Office Specialist)などの資格を取得すれば、年収アップやキャリアの幅を広げられます。正確な作業が得意で、サポート業務にやりがいを感じる方に向いています。
販売職
販売職は、店舗で商品を販売し、接客対応を行う仕事です。アパレル、家電量販店、雑貨店など幅広い業界で未経験者を歓迎しています。お客様とのコミュニケーションを通じて接客スキルや商品知識を身につけられ、入社後の研修制度も充実している企業が多いのが特徴です。
平均年収は約350〜450万円で、店長やエリアマネージャーへの昇進により年収アップが期待できます。販売実績が評価されれば、本社のバイヤーや商品企画職へのキャリアチェンジも可能です。人と接することが好きで、笑顔でコミュニケーションを取れる方に向いています。
施工管理
施工管理は、建設現場で工事の進行管理や品質管理、安全管理を担当する仕事です。建設業界は慢性的な人手不足のため、未経験者向けの研修制度が充実している企業が多く、資格取得支援制度を設けている会社も少なくありません。現場でOJTを受けながら実務を学べるため、建設業界の知識がなくても挑戦できます。
平均年収は約603〜633万円で、20代でも比較的高収入を目指せる職種です。施工管理技士の資格を取得すれば、さらなる年収アップやキャリアアップが見込めます。将来的には現場監督やプロジェクトマネージャーとして活躍できます。責任感が強く、マルチタスクをこなせる方に向いています。
CADオペレーター
CADオペレーターは、建築や機械設計の図面をCADソフトを使って作成する仕事です。未経験者向けにCADソフトの操作研修を実施している企業が多く、建築や設計の専門知識がなくても始められます。在宅勤務が可能な企業も増えており、柔軟な働き方ができる点も魅力です。
平均年収は約422万円で、経験を積むことで設計補助や設計職へのステップアップも可能です。AutoCADやJw_cadなどの操作スキルを磨けば、フリーランスとして独立する道もあります。細かい作業が得意で、正確さを求められる仕事にやりがいを感じる方に向いています。
物流・ドライバー
物流・ドライバーは、トラックで荷物を配送する仕事です。普通自動車免許があれば始められる求人が多く、入社後に中型・大型免許の取得支援制度を設けている企業も増えています。EC市場の拡大により物流業界の需要は高まっており、未経験者でも安定した雇用が期待できます。
平均年収は約450〜460万円で、大型トラックドライバーになれば年収500万円以上も目指せます。長距離運転が得意であれば、さらに高収入を得ることも可能です。一人で黙々と作業をすることが好きで、運転が得意な方に向いています。
製造業(工場勤務)
製造業は、工場で製品の組み立てや検査、機械操作などを担当する仕事です。未経験者歓迎の求人が非常に多く、作業手順は入社後のOJTで丁寧に教えてもらえます。単純作業から始められるため、特別なスキルや経験がなくても安心してスタートできる職種です。
平均年収は約486万円で、夜勤手当や残業手当により収入を増やせる企業も多くあります。技術を習得すれば、製造技術者やライン管理者へのキャリアアップも可能です。黙々と作業をすることが苦にならない、集中力がある方に向いています。
【20代男性向け】未経験から挑戦しやすい仕事5選

ここでは、体力や技術力を活かせる仕事を中心に、20代男性が未経験から挑戦しやすい職種を5つ紹介します。将来的に高収入を目指せる職種や、手に職をつけられる仕事を厳選しました。
営業職(法人営業・個人営業)
営業職は、男性の転職先として非常に人気が高い職種です。特に法人営業は、BtoB商材を扱うため高額な取引が多く、成果を出せば20代でも高収入を得られる可能性があります。未経験でも研修制度が充実している企業が多く、ビジネスマナーから商談のノウハウまで体系的に学べます。
体力的にも営業活動で外回りが多いため、フットワークの軽さが求められます。顧客との信頼関係を構築するコミュニケーション能力と、目標達成への強い意欲があれば、未経験からでも十分に活躍できます。将来的には営業マネージャーや事業責任者としてキャリアを築くことも可能です。
ITエンジニア(インフラ・開発)
IT業界は男性比率が高く、未経験からでも技術を身につけやすい環境が整っています。特にインフラエンジニアは、サーバーやネットワークの構築・運用を担当する仕事で、プログラミングが苦手な方でも挑戦しやすい分野です。開発エンジニアを目指す場合も、未経験者向けのプログラミング研修を実施している企業が増えています。
論理的思考力と問題解決能力が求められますが、技術を磨けば20代後半で年収600万円以上も十分に狙えます。将来的にはフリーランスとして独立したり、ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーへのキャリアアップも可能です。
施工管理(建築・土木)
施工管理は、建設現場の進行管理や安全管理を担当する仕事で、男性の転職先として人気があります。体力が必要な現場作業ではなく、主に管理業務を行うため、建設業界未経験でも挑戦できます。資格取得支援制度を設けている企業が多く、働きながら施工管理技士の資格を目指せる環境が整っています。
平均年収は約603〜633万円と高水準で、20代でも努力次第で年収500万円以上を目指せます。責任感とマネジメント能力が求められますが、大規模なプロジェクトに携わる達成感は大きく、やりがいのある仕事です。
物流・ドライバー(大型トラック)
物流業界は慢性的な人手不足のため、未経験者でも積極的に採用されています。普通自動車免許があれば、入社後に中型・大型免許の取得支援を受けられる企業が多く、費用負担なしで資格を取得できる点が魅力です。大型トラックドライバーになれば、平均年収450〜492万円と安定した収入が得られます。
長距離運転が得意であれば、さらに高収入を目指すことも可能です。一人で集中して仕事をしたい方や、運転が好きな方に向いています。将来的には運行管理者として管理職を目指す道もあります。
製造業(工場のライン作業・機械オペレーター)
製造業は、未経験から安定した収入を得やすい職種として男性に人気があります。自動車製造、電子部品製造、食品製造など幅広い業界で求人があり、特別なスキルがなくても始められます。夜勤や残業手当により収入を増やせる企業も多く、平均年収は約486万円です※。
体力を活かして働きたい方や、黙々と作業することが苦にならない方に向いています。技術を習得すれば、製造技術者やライン管理者へのキャリアアップも可能で、将来的には生産管理や品質管理の専門職を目指すこともできます。
【20代女性向け】未経験から始められる仕事5選

ここでは、女性が働きやすい環境が整っている職種や、ライフイベントに対応しながら長く働ける仕事を5つ紹介します。未経験からでもスキルを身につけやすく、キャリアを築きやすい職種を厳選しました。
事務職(一般事務・営業事務)
事務職は、女性に人気が高く、未経験からでも始めやすい職種です。書類作成、データ入力、電話対応などのデスクワークが中心で、PCの基本操作ができればスタートできます。残業が少なく、土日休みの企業が多いため、ワークライフバランスを重視したい方に最適です。
平均年収は約343万円で、簿記やMOS(Microsoft Office Specialist)などの資格を取得すれば、経理事務や人事労務などの専門事務職へのステップアップも可能です。正確な作業が得意で、サポート業務にやりがいを感じる方に向いています。将来的には総務や人事のスペシャリストを目指す道もあります。
販売職(アパレル・化粧品・雑貨)
販売職は、接客を通じてお客様に商品の魅力を伝える仕事で、女性が多く活躍している職種です。アパレル、化粧品、雑貨など、自分の興味がある分野で働けるため、仕事へのモチベーションを保ちやすいのが特徴です。未経験者向けの研修制度が充実しており、接客マナーや商品知識を基礎から学べます。
平均年収は約350〜450万円で、店長やエリアマネージャーへの昇進により年収アップが期待できます。販売実績が評価されれば、本社のバイヤーや商品企画職へのキャリアチェンジも可能です。人と接することが好きで、トレンドに敏感な方に向いています。
介護職(介護スタッフ・ケアスタッフ)
介護職は、高齢者や障がい者の生活をサポートする仕事で、女性が多く活躍している業界です。資格不要で始められる求人が多く、働きながら「介護職員初任者研修」や「介護福祉士」の資格を取得できる支援制度が整っています。人の役に立ちたいという想いがあれば、未経験からでも安心してスタートできます。
平均年収は約406万円(月額33.8万円)で、資格取得や経験を積むことで処遇改善加算による給与アップが見込めます。介護福祉士やケアマネージャーの資格を取得すれば、さらなる収入増とキャリアアップが可能です。思いやりの心があり、人をサポートすることにやりがいを感じる方に向いています。
Webデザイナー
Webデザイナーは、企業のWebサイトやバナー広告のデザインを担当する仕事です。デザイン未経験でも、Photoshopや Illustratorなどのデザインツールの使い方を学べる研修制度を設けている企業が増えています。在宅勤務やフレックスタイム制度を導入している企業も多く、柔軟な働き方ができる点が女性に人気です。
平均年収は約450万円程度で、スキルを磨けばフリーランスとして独立することも可能です。Webデザインのスキルは汎用性が高く、UI/UXデザイナーやアートディレクターへのキャリアアップも目指せます。デザインやビジュアル表現に興味があり、創造的な仕事をしたい方に向いています。
美容関連(エステティシャン・ネイリスト)
美容関連の仕事は、女性が自分の興味を活かして働ける職種です。エステティシャンやネイリストは、未経験者向けの研修制度が充実しており、入社後に技術を学べる企業が多くあります。美容の知識や技術を身につけることで、お客様に喜ばれる実感を得られる点が魅力です。
将来的には独立開業を目指すことも可能で、自分のサロンを持つという夢を実現できます。美容に関心があり、人を美しくすることにやりがいを感じる方に向いています。技術職として長く働き続けられる点も、ライフイベントが多い女性にとって大きなメリットです。
20代前半と後半で転職のポイントはどう違う?

20代前半と後半では、企業が求める人材像や転職活動のアプローチが異なります。ここでは、年代別の転職ポイントを詳しく解説します。
20代前半(20〜24歳)の転職ポイント
20代前半の転職では、企業は「ポテンシャル」を最も重視します。厚生労働省の調査によると、20〜24歳の転職成功率は60.7%と非常に高く、若さと柔軟性が大きな武器になります※。スキルや経験がなくても、やる気や成長意欲をアピールすることで採用される可能性が高い年代です。
この年代では、異業種への転職成功率が52%と高く※、業界を問わず幅広い選択肢があります。「どんな仕事が自分に合うか分からない」という状態でも、まずは挑戦してみることが重要です。企業側も教育前提で採用するため、研修制度が充実している企業を選ぶと良いでしょう。また、第二新卒として扱われることが多く、新卒に近い待遇で採用されるケースもあります。
20代後半(25〜29歳)の転職ポイント
20代後半の転職では、「ポテンシャル+実務経験」の両方が求められます。転職成功率は50.3%と20代前半より低下しますが※、これは企業が即戦力性を期待し始めるためです。前職で培ったスキルや実績を具体的にアピールすることが重要になります。
異業種転職率は39%と20代前半より下がりますが※、逆に同業種への転職では経験が評価されやすく、年収アップを実現しやすい年代です。「何をしたいか」「どんなキャリアを築きたいか」を明確にし、それに向けた計画的な転職活動が求められます。また、この年代は結婚や出産などのライフイベントを見据えて、長期的に働ける企業を選ぶことも重要なポイントです。
未経験転職も可能ですが、20代前半より慎重に業界・職種を選び、転職後のキャリアプランをしっかり描くことが成功の鍵となります。
未経験から転職しやすい業界の特徴

未経験から転職を成功させるには、未経験者を積極的に受け入れている業界を選ぶことが重要です。ここでは、未経験転職しやすい業界の3つの特徴を解説します。
人手不足が続いている業界
慢性的な人手不足に悩む業界は、未経験者でも積極的に採用する傾向があります。代表的なのが介護業界、物流業界、建設業界です。介護業界は少子高齢化により需要が拡大し続けており、2025年には約32万人の介護人材が不足すると予測されています。物流業界もEC市場の拡大により配送需要が急増し、ドライバー不足が深刻化しています。
建設業界も技能労働者の高齢化が進み、若手人材の確保が急務となっています。こうした業界では、未経験者向けの研修制度や資格取得支援制度が充実しており、入社後にスキルを身につけられる環境が整っています。人手不足業界は、未経験でも安定した雇用が期待できる点が大きな魅力です。
未経験歓迎の求人が多い業界
IT業界、営業職、販売・サービス業は、未経験歓迎の求人が特に多い業界です。IT業界は技術者不足が深刻で、未経験者向けのプログラミング研修を実施する企業が増えています。経済産業省の調査によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予測されており、未経験者の採用ニーズは今後も高まる見込みです。
営業職は、業界や商材の知識よりもコミュニケーション能力や営業センスが重視されるため、前職の業種を問わない求人が多数あります。販売・サービス業も接客スキルがあれば業界を問わず転職しやすく、特にアパレル、飲食、小売などは未経験者の受け入れ体制が整っています。これらの業界は、入社後の教育制度が充実している点も特徴です。
成長産業で将来性が高い業界
成長を続ける産業は、事業拡大のために積極的に人材を採用しています。代表的なのがIT・Web業界、Webマーケティング業界、再生可能エネルギー業界です。デジタル化の進展により、IT・Web業界の市場規模は年々拡大しており、未経験者でも成長機会が豊富にあります。
Webマーケティング業界も、企業のデジタルシフトが加速する中で需要が急増しています。SNS運用、SEO対策、Web広告運用など、未経験から学べる分野が多く、将来性の高いスキルを身につけられます。再生可能エネルギー業界は、カーボンニュートラル政策により今後さらなる成長が見込まれており、未経験者向けの技術研修を実施する企業も増えています。成長産業では、キャリアアップの機会が多く、長期的に安定して働ける点が魅力です。
20代が未経験転職を成功させる5つのコツ

未経験からの転職を成功させるには、準備と戦略が重要です。ここでは、20代が未経験転職で押さえるべき5つのポイントを解説します。
自己分析で強みと適性を明確にする
未経験転職では、これまでの経験から得たスキルや強みを整理することが重要です。前職が異業種であっても、コミュニケーション能力、問題解決力、協調性などの汎用スキルは必ず評価されます。「どんな場面で成果を出したか」「どんな困難を乗り越えたか」を具体的に振り返り、転職先でどう活かせるかを明確にしましょう。
また、自分の価値観や適性を見つめ直すことも大切です。「人と関わる仕事が好きか」「黙々と作業する方が得意か」「安定を重視するか、挑戦を優先するか」など、自己理解を深めることで、自分に合った職種や企業を選びやすくなります。キャリアカウンセリングや適性診断ツールを活用するのも効果的です。
未経験歓迎の求人に特化して応募する
効率的に転職活動を進めるには、「未経験歓迎」「未経験OK」と明記されている求人に絞って応募することが重要です。経験者優遇の求人に応募しても、書類選考で落とされる可能性が高く、時間と労力の無駄になります。転職サイトの検索条件で「未経験歓迎」にチェックを入れ、自分の希望に合う求人を探しましょう。
また、20代向けの転職エージェントを活用するのもおすすめです。エージェントは、未経験者を積極的に採用している企業の情報を持っており、あなたの適性に合った求人を紹介してくれます。書類添削や面接対策などのサポートも受けられるため、転職成功率を高められます。
志望動機で「なぜ未経験から挑戦するのか」を明確に伝える
未経験転職では、「なぜこの仕事を選んだのか」「なぜ今なのか」を論理的に説明することが求められます。企業は、未経験者の意欲と本気度を見極めたいと考えているため、曖昧な志望動機では評価されません。「前職で〇〇を経験し、△△に興味を持った」「将来的に〇〇を実現したい」など、具体的なエピソードを交えて説明しましょう。
また、企業研究をしっかり行い、その企業ならではの魅力や事業内容に触れることも重要です。「この会社で働きたい」という熱意が伝われば、未経験でも採用される可能性が高まります。面接前には、企業のWebサイトやニュースリリースを確認し、最新の事業動向を把握しておきましょう。
入社前に基礎知識やスキルを学んでおく
未経験であっても、入社前に基礎知識を学んでおくことで、意欲の高さをアピールできます。例えば、IT業界を目指すならプログラミングの基礎を学ぶ、営業職なら営業関連の書籍を読む、介護職なら介護の基本知識を勉強するなど、少しでも準備をしておくと面接で好印象を与えられます。
オンライン学習サービスや資格取得講座を活用すれば、働きながらでも効率的に学習できます。「独学で〇〇を学んでいます」「△△の資格取得を目指しています」と伝えることで、企業に本気度が伝わり、採用の可能性が高まります。実際に資格を取得できれば、さらに大きなアドバンテージになります。
20代のうちに行動する
未経験転職は、年齢が若いほど成功しやすい傾向があります。20代前半の転職成功率は60.7%、20代後半は50.3%と、年齢が上がるにつれて成功率は下がります※。30代になると企業は即戦力を求めるようになり、未経験からの転職はさらに難しくなります。
「もう少し経験を積んでから」と先延ばしにするのではなく、興味がある仕事があれば、20代のうちに挑戦することが重要です。若さはそれだけで大きな武器であり、失敗してもやり直しがきく年代です。迷っているなら、まずは一歩踏み出してみましょう。
未経験転職で注意すべき3つのポイント

未経験転職にはチャンスがある一方で、注意すべき落とし穴もあります。ここでは、転職後に後悔しないために押さえておくべき3つのポイントを紹介します。
給与や待遇が下がる可能性を理解しておく
未経験転職では、前職より給与が下がるケースが少なくありません。企業側は未経験者を教育コストがかかる人材と捉えるため、即戦力の経験者より初任給が低く設定されることが一般的です。特に20代後半で未経験転職をする場合、一時的に年収が下がることを覚悟する必要があります。
ただし、長期的な視点で考えることが重要です。最初は給与が下がっても、スキルを身につけて経験を積めば、将来的に年収アップが期待できます。目先の収入だけにとらわれず、「5年後、10年後にどんなキャリアを築きたいか」を考えて判断しましょう。また、給与以外の福利厚生や働きやすさ、成長機会なども総合的に評価することが大切です。
ブラック企業を見極める
未経験歓迎の求人の中には、労働環境が悪いブラック企業が紛れていることもあります。「常に求人を出している」「離職率が異常に高い」「面接で具体的な業務内容を説明してくれない」といった企業は要注意です。口コミサイトや転職会議などで、実際に働いた人の評判を事前に確認しましょう。
また、面接時には「残業時間の実態」「離職率」「研修制度の詳細」を質問することも重要です。質問に対して曖昧な回答しか返ってこない場合や、具体的な数字を教えてくれない企業は避けた方が無難です。20代のうちにブラック企業で消耗してしまうと、その後のキャリア形成に悪影響を及ぼす可能性があります。企業選びは慎重に行いましょう。
「とりあえず転職」は避ける
「今の仕事が嫌だから」「なんとなく転職したい」という理由だけで転職するのは危険です。明確な目的がないまま転職すると、転職先でも同じ不満を抱える可能性が高く、短期離職を繰り返すことになりかねません。短期離職が続くと、次の転職活動で不利になり、キャリアに傷がつく恐れがあります。
転職を決断する前に、「なぜ転職したいのか」「転職で何を実現したいのか」を明確にしましょう。現職の不満を解消するだけでなく、「この仕事で将来どうなりたいか」というキャリアビジョンを持つことが重要です。目的が明確であれば、企業選びの軸がぶれず、入社後のミスマッチも防げます。焦らず、じっくりと自分と向き合う時間を持ちましょう。
20代の未経験転職でよくある質問(FAQ)
ここでは、20代が未経験転職をする際によく抱く疑問にお答えします。転職活動を始める前に、ぜひ参考にしてください。
Q1. 未経験でも本当に正社員として採用されますか?
A. はい、20代であれば未経験でも正社員として採用される可能性は十分にあります。厚生労働省の調査によると、20代の転職成功率は50〜60%と高く、転職経験者の54.3%が未経験転職を経験しています。企業は20代の若手に対してポテンシャル採用を行う傾向が強く、スキルや経験よりも意欲や成長性を重視します。
特に、IT業界、営業職、介護業界、製造業などは未経験者向けの研修制度が充実しており、正社員として安定した雇用が期待できます。ただし、年齢が上がるにつれて未経験転職の難易度は高くなるため、興味がある仕事があれば早めに行動することが重要です。
Q2. 転職活動はどれくらいの期間がかかりますか?
A. 一般的に、転職活動には3〜6ヶ月程度かかります。求人の検索や応募書類の作成に1〜2週間、書類選考や面接に2〜4週間、内定から入社まで1〜2ヶ月が目安です。ただし、未経験転職の場合は、希望条件に合う求人を見つけるまでに時間がかかることもあります。
効率的に転職活動を進めるには、複数の転職サイトや転職エージェントを併用することがおすすめです。また、在職中に転職活動を行う場合は、現職の繁忙期を避けるなど、スケジュール管理に注意しましょう。焦らず、じっくりと自分に合った企業を探すことが成功のカギです。
Q3. 転職回数が多いと不利になりますか?
A. 20代であれば、転職回数が1〜2回程度であれば大きな問題にはなりません。ただし、短期間(1年未満)で複数回転職を繰り返している場合は、「すぐに辞めてしまうのではないか」と企業に懸念される可能性があります。面接では、転職理由を明確に説明し、「次の職場では長く働きたい」という意欲を伝えることが重要です。
転職回数よりも、「なぜ転職したのか」「転職で何を得たのか」という内容が重視されます。前向きな理由であれば、転職回数が多くてもマイナス評価にはなりにくいでしょう。キャリアの一貫性や成長ストーリーを論理的に説明できるよう準備しておきましょう。
Q4. 資格がないと未経験転職は難しいですか?
A. 資格がなくても未経験転職は可能です。多くの企業は、資格よりも人柄や意欲、ポテンシャルを重視して採用します。ただし、資格があると書類選考で有利になったり、入社後のスタートダッシュがスムーズになったりするメリットがあります。
例えば、介護職なら「介護職員初任者研修」、IT業界なら「ITパスポート」や「基本情報技術者試験」、事務職なら「MOS(Microsoft Office Specialist)」や「簿記3級」などを取得しておくと、本気度をアピールできます。転職活動中に勉強を始め、「現在〇〇の資格取得を目指しています」と伝えるだけでも好印象です。
Q5. 20代後半でも未経験転職はできますか?
A. はい、20代後半でも未経験転職は可能です。ただし、20代前半と比べると企業は即戦力性を期待する傾向が強くなるため、前職で培ったスキルや経験をどう活かせるかをアピールすることが重要です。例えば、営業職からITエンジニアへの転職であれば、「顧客折衝力を活かしてクライアント対応ができる」といった形で強みを伝えましょう。
20代後半の異業種転職率は39%とやや低下しますが、半数近くの人が成功していることも事実です。キャリアプランを明確にし、「なぜ今この仕事に挑戦したいのか」を論理的に説明できれば、20代後半でも十分にチャンスがあります。
まとめ
20代は未経験からでも転職しやすい年代です。企業はポテンシャルを重視して採用するため、スキルや経験がなくても、意欲と成長性をアピールすれば十分にチャンスがあります。本記事で紹介した20職種は、いずれも未経験者向けの研修制度が充実しており、安心してスタートできる仕事ばかりです。
転職を成功させるには、自己分析で強みを明確にし、未経験歓迎の求人に特化して応募することが重要です。また、志望動機では「なぜこの仕事なのか」を具体的に伝え、本気度をアピールしましょう。給与が一時的に下がる可能性やブラック企業の見極めなど、注意点も押さえておくことで、転職後のミスマッチを防げます。
20代のうちに行動すれば、失敗してもやり直しがききます。興味がある仕事があれば、迷わず一歩を踏み出してみることをおすすめします。